200年目の鐘



                  贈り物争奪戦

 それは彼女の一言から始まった。
「負けた人は告白するってのはどうよ?」

 今から数十分前。
「みんな居るぅ?」
 そう言って広間に顔を出したミレルは、マスター3人と王が居るのを確認すると満面の笑みで彼らに近づいてくる。
「リラが居ないけど」
 ラウルがそう答えると、彼女はいいのいいの、そう言って手を振った。
「で、なんのようだよ?」
「ミレルがそういう顔をしてる時はろくなことがないからの
 う」

「それは同感だな」
 三人の言葉に彼女は頬をぷうっと膨らまし、首を縦に振るラウルをきっと睨み付ける。
「ラウ君まで同意しないで!!私は皆に勝負を挑みに来たの
 よ!!」

「「「「勝負?」」」」
 ビシッと突きつけられた指先を見ながら彼らは同時に口を開
いた。
「ラウ君王だから知ってると思うけど。今日はバレンタインと
 言う日らしいわ」

「ああ、あのお気に入りに贈り物を渡すとかなんとか」
「そう!最近街で流行ってるって言うじゃない。さすがラウ
 君!ちゃんと仕事してるのね!」

「今日、とか限定しといて、流行ってるって言うのか?」
「クロ君、細かいことは気にしちゃだめよ」
 ボソッと突っ込みを入れたクロノスに律儀に返答する彼女にリュウキが聞き返す。
「で、勝負とはなんなのだ?」
「それはもちろん!贈り物を誰が一番貰えるか!!!」
「くだらぬな。我はやらぬぞ」
「まあまあ、リュウ君話は最後まで聞きなさい」
「最後まで?ミレル、まだ何かあるのか?」
「ふっ」
 眉を潜め聞き返すラウルに意味深な笑いを返しながら言っ
た。

「ビリには罰ゲーム有り。負けた人は告白する!」
「よっしゃ、乗った!!」
「きゃあ。さすがクロ君分かってるぅ」
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