200年目の鐘



「リラ!」
 部屋に戻ろうとしたリラをラウルは呼び止めた。
 彼女は振り返り足を止める。
「なんですか?」
「あの、これ、一日送れたけど。本当は渡しに行ったんだけど
 楽しそうだったから」

 そういってポケットから赤い宝石のついたペンダントを取り出した。
「私に?」
「そう」
 リラはそれを受け取るとうれしそうに笑った。
「ありがとうございます」
「…あ、それだけだから。じゃあ」
 ラウルは振り返り、自室に戻ろうとすると、今度はリラが彼を呼び止めた。
「ラウル」
「?」
振り返ると同時に、リラは口を開く。
「私はラウル=トキ=クレスタが好きです」
「へ?」
 驚いているラウルにリラは満足そうににこりと笑うとお休みなさい、そう言って去っていった。          

 残されたラウルは
「…確信犯か…」
そう呟く。

これは他の誰もしらない秘密の話。









                      END






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