黄昏の金色竜



 だもの、何処へ行っても危険じゃない?」
「……なんか、イメージ違くない?」
「人のイメージを勝手に作らないでよ」
「いや、でも…」
「助けても!」
 言いかけたケイの言葉をさえぎるように口調を強め、彼女はさらに続けた。
「私はずっと狙われてるからすぐ捕まってあなたの私を助けた
 その行動も無駄になっちゃうかもよ?」

「うっ」
 性格の違いに納得がいかないものの少女の言うことにも一理ある。
「それと勘違いしているようだから言うけど、私は黒き竜では
 なくて、人を探してるのよ。だから道案内がほしいの」

 彼女の言うこと一理ある、一理あるのだが、言いたいほうだいいう少女に苛立ちを感じとうとうケイは言い返した。
「髪も気になるがその服!そんなものこっちにはないから目立
 ちすぎる。その服装を何とかできたら道案内、してやっても
 いい」

 異世界から来た少女、こちらの硬貨も持っていないはずだ、服など買える筈もない。
 ケイは勝利の笑みを浮かべながら困ってるだろうと少女を見

ると、彼女はとてもうれしそうな顔をして彼を見ていた。
「よかった。こっちの世界の服ならばっちり用意してあるわ。
 ほら!」

 何処から出したのか、こちらの世界の服を掲げて笑う少女にケイはがくりと方を落とす。
「そんなのありかよ…」
「私はルベリア。んじゃ、よろしくね、ケイ!」
 かなりうれしそうな少女をみて、ケイは深い深いため息をついた。
「言っとくけど、俺に触るなよ」
「うん、なるべく気をつけるようにするから、安心して」
 親指を立て、ウインクしながら答えた彼女に対し、ケイは額に筋を立て言った。
「なるべく、じゃなくて、絶対だ!」

これが奇妙な関係の二人の旅の幕開けだった。





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