鎖に繋がれし者



「俺の学校で、あ、魔法学校なんですけど。誰かが召喚したの
 か最近低級魔族がうようよしてるんです。最初はたまに見か
 けるくらいだったんで教師が退治してたんですけど、日に日
 に増えて、だんだん対応しきれなくなって、それでとうとう
 怪我した生徒が居るんです。それで今回こちらでその悩みを
 解決していただけるんじゃないかと…」

「低級魔族退治…面白そうね」
「レイ様が珍しく乗り気!?」
「何よ?」
「いいえ〜。仕事ができて嬉しいんですよ」
「退治までしてもらえるんですか?」
 少年は驚いたように二人の顔を見る。
「あたりまえですよ!なんたってうちのコンセプトは…」
「それはもういいわよ」
 楽しそうに言おうとしたリオの台詞をまた今度は言葉で制してレイは続けた。心なしかリオの顔は悲しそうだ。
「悩みを解決するにはそれが一番手っ取り早い。それでいいで
 しょう?」

「あ、ありがとうございます。俺、クリスって言います」
「じゃあクリス君。今夜早速貴方の学校にお邪魔させていただ
 くわ」



 その夜、魔法学校で依頼人を待ちながら二人は正門の前に建っていた。夜の学校というのはなんだか昼間より威圧感があ
り、その周りの木までも不気味に見えてくる。

「うわあ、やっぱり夜の学校ってなんだかわくわくします
 ねっ」

 なんだか妙にはしゃいでいるリオにレイは呆れた顔を向け
た。

「そうかしら?」
「そうですよ。やりませんでした?窓の一角を放課後こっそり
 開けといて夜学校に忍び込むんです。なんか泥棒にでもなっ
 た気分で宿直の先生にも見つからないかとかドキドキもので
 したよ。学生時代を思い出しますねっ」

「リオちゃん…不良だったの?」
「ち、違いますよ!失礼な」
 慌てて否定する様子をレイはさめた様子で眺め、そして溜息をつく。
「すみません!お待たせしてしましましたか?」
 クリスは息を乱しながら走りより深々と頭を下げながらいっ
た。レイは軽く手を振り、

「時間より早いわ。問題なしよ」
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