鎖に繋がれし者



 れー!!」
「でも…」
「でもも何にもなーい!」
「ひいいい」
 余りの勢いに気の弱そうな少年は逃げるようにして去っていく。
「ったく」
 美女は肩で息をつきながらその場に再び腰を下ろしたその時だった。
「ちょっとちょっとレイ様!?何やってるんですか!?」
 肩より少し長いくらいの金茶色の髪を二つに高く縛った、少女が店の置くから顔を出す。
「何って悩みを解決してあげたのよ」
「してないでしょう!?客脅して帰してどうするんですか!?
 悩みを聞いて助言するとかあるでしょう!?」

「だってー」
「だってじゃありません!!うちのコンセプトは『バッチリ貴
 方の悩み解決します☆』です!!私も約束守ってるんですか
 らレイ様も守ってくださいよ!」

「…わかったわよ。次の客の依頼は受ければいいんでしょ」
「そうです!受ければいいんです」
「全くリオちゃんは我侭なんだから」

「どっちがですか!」
 そう叫んだ時だった。ベルの音が鳴り、一人の茶髪の眼鏡をかけた少年が入ってくる。
「…あの…」
「あ、お客様ですね!」
 先ほどの態度とは打って変わってリオはにっこりと接客用の笑顔で素早く対応した。
「はい。ここって、悩みを解決していただけるんですよね」
「そうよ。いいわ、貴方の依頼受けましょう」
「え?」
「レイ様!まだ内容聞いてないじゃないですか!?」
「あら、だって次の依頼人の依頼は受けろって言ったのはリオ
 ちゃんよ?」

「そ、そうなんですけど違うんですよ!」
「もう、本当我侭ねえ」
「我侭じゃありません!」
「あの、内容を話してもいいでしょうか?」
「そうです!まず内容です!!そう、そうなんですよ!」
「あ〜もう黙って、頭に響くわ。で、内容って何かしら?」
 脇で頬を膨らましているリオの顔に左手を当てて制し、少年の方に向き直ると問いかける。
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