とでラウルはようやく自分が森の中に居るのだと理解した。
そしてその出来事に戸惑いながら目の前に立っている少女を見詰めた。薄い茶色い髪に、赤い瞳をした少女。
「今のは、君が…?」
「あなたは、やはり平気なのですね」
「…平気って何が?」
その言葉には答えず少女は背を向け半ば振り返ると言った。
「ついて来て下さい」
ラウルは大人しくその言葉に従った。警戒心を解く事は出来なかったが状況を知る必要があった。
もし、少女がこの森の住人ならばどちらにしろ従った方がいいだろう、そう判断した。
しばらく歩くと一つの小さな家の前に着いた。少女はその扉をそっと開けると、
「どうぞ」
そう言ってラウルを促した。ラウルは言われるままにその家の中へと足を踏み入れる。
入るとすぐにテーブルが置いてあった。その上にはティーカップが三つとお茶菓子が添えてある。
ドアの向かい側の席には白い髭を床まで垂らした老人が一人座っていた。
「良く来たな、客人よ。こっちへ来てお座りなさい」
ラウルは言われるままに椅子に腰を下ろした。それを見届け |
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てから少女も老人の隣に腰を下ろす。老人は満足げに髭を撫でてからテーブルに置かれたカップを一つ、ラウルのほうへ差し出した。ラウルが警戒したようにそのカップを眺めているのを見て、老人は目を細め笑いながら言った。
「安心しなさい。お前さんに危害を加える気はない」
ラウルは顔を上げて老人の瞳をしばらくじっと見つめていたが、やがて強張っていた頬の筋肉を緩めるとようやくカップに手を伸ばす。霧のせいで冷えていた身体にはその暖かさが心地よかった。
「わしはドッグ=ブラッドという。ラウル、早速だが…」
「俺を、知ってるんですか?」
「ああ、知っている。お前さんが来るのをまっとったんだよ」
「俺が?」
「そう、時にラウル。此処が何処だか知っているか?」
老人の問いかけにラウルは首を振り答える。
「いえ」
「此処は死の森だ。そして私はこの森の番人」
その答えにラウルは激しく咳きこんだ。
「なっ、死の森!?」
死の森、そこは選ばれた者以外立ち入る事のできない森。
もし足を踏み入れたならば、たちまち命を奪われると言う森
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