そこにはほんの僅かな段差があり、その段差の上、床の上には不思議な文様が刻まれていた。
「この上に乗って、早く」
ラウル以外は全員その文様の上に居た。
リノは急かし、彼が乗ったのを確認すると一つ手を叩いた。腕に嵌められた鈴が涼しげな音を響かせ鳴り響く。
それに反応するかの様に、文様の淵が光りだした。
その時、クロノスはラウルの方を見て言った。
「そういえば、お前、名は?」
「ラウルだ」
「正式名称は名のらない訳ね」
「俺は契約しない。貴方にも直接名乗られていない。まあ聞い
ていたけど、それは失礼に値するのか?」
「いや」
そこで会話は途切れた。
彼女は一度打ち鳴らした手をそのまま文様へと打ち下ろし
た。再び鈴の音が響く。
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