200年目の鐘



「…君が…」
「?」
「君が思ってるほど回りはその事、気にしてないんじゃないか
 な?」

「…そう…かもしれませんね」
 なんだか悲しそうに同意するリラに慌ててラウルは付け足した。
「だから、君も気にしなくていいと思う」
「…有難うございます。でも、それでも私は星が好きだから」「は?」
 何かさっきといってることが違い意味が解らないといった表情でリラを見たが、リラは空を見たまま続けた。
「綺麗なものを見て、自然と笑いたいと、私は思います」
 その眼は何処か遠くを見詰め、初めは怖いと思った赤い瞳
が、空の藍色を移して暗く悲しい色に見えてラウルは一瞬どきりとした。

「…君はどうして、あの森に?」
「私は…時の神に育てられました」
「!?…じゃあ時の神は君の…」
「違います。時の一族は王にはなれませんから」
「じゃあ…どうして?」
「解らないんです」

「解らない?」
 意外な返答にラウルは戸惑いながらも聞き返す。
「大人でも近づけば気を失うかもしれない、ましてや足を踏み
 入れれば死んでしまう死の森。その入り口に、時の神はある
 はずのない赤子の声をきいたそうです。そこへ向かうと、そ
 の子は、四つの精霊の加護を受けていた…」

「それが、リラ」
 リラは黙って頷いた。
「親も誰だかわらない。今となっては理由なんて解らない。悪
 い事が頭をよぎって、こんな事になってしまいました」

「…君の親はきっとリラを護る為に…」
「そうだと、嬉しいんですけど…。…ラウル…時の一族は未来
 が見える訳ではありませんよ。それは神にも同じ事」

「!」
 疑問に思っていた事、それをリラは突然語りだした。
「でも…」
「でも?」
「いいえ、なんでもありません」
 何かを言いかけ、そして口をつぐむとまた話し始める。
「ただ、過去を見ることはできるのです。私は自分が何故こう
 なったのかだけは知りたかった。だから時の神にお願いしま

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