200年目の鐘



 真顔で講義したクロノスにミレルが突っ込む。
「なるほど、それで時の一族のことを知っていたのじゃな」
「重要なってこういうことだったのだな」
 男は冷ややかな眼でラウルを見詰めると言った。
「ラウル…か…」
「何のために父さんを、皆を殺して…。ルーン王まで…」
「ふんっ。お前にはもう用はないと言ったはずだ。のこのこと
 私の前に何度も現れるな!さあリラ!」

 リラはラウルの方を向いて、そして囁いた。
「思い出してください。マリアが、貴方のお母さまがどんな人 だったかを…」
 そして振り返ると檻から離れて男の方へ向かった。
「そう、それでいい…」
 男は微笑むと人差し指を彼らの方へ突き出し、そしてその指先が光る。
「消えろ、ラウル」
 次の瞬間、檻の中に彼らの姿はなかった。
 だがリラはただ黙って立ち尽くしている。
 ふと男がリラの腕を見るとその手には腕輪はついていなかった。男はリラの腕を掴むと殺気だったまま怒鳴る。

「貴様!腕輪はどうした!?」
「…貴方が一番ご存知なのではないですか?」

 その瞳もまたしっかりと彼の眼を見据えていた。
「…あの小僧か!?」
「そう、でも心配などいりませんよ。彼は戻ってくるのですか
 ら」

「なんだと?」
「私は過去を見てきました」
「過去?まさか!?」
「そう、彼らが向かったのはあの時代。戻ってくるのです。真
 実を知って…、貴方が本当は誰なのかを知って…ね」

「…小娘がっ」
 そのまま掴んでいた腕を捻り上げる。
「…っ」
 嫌な音がした。腕を折られ、うめき声を上げはしたものの、リラは叫ばず、ただ男を睨みつけていた。
 舌打ちをするとそのまま一人の兵士を呼び、リラを地下牢への幽閉を命じた。
「連れて行け、だが、殺すなよ」

 一人部屋に残った男はふと笑い、一人の女の言葉を思い出していた。
『私の息子が、必ず貴方を止めるわ』

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