200年目の鐘



 その時初めてラウルは泣いている事に気がついた。
「……」
 少しの沈黙。
 そして、
 頭の中で声が聞こえた。
『現実を受け入れろ』
「…わかってる」
 その声に絞り出すような声で答える。だが声は続けた。
『そうしなければお前は先へは進めない』
「わかってる!けど…」
 強く叫びそして言った。落ちる涙を血に溶け込ませながら。
「やっぱり誰かが死ぬのは悲しいよ」









     

 
 
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