「あ!おめでとうございます、ラウル。今日はパーティーな
のでしょう?私も皆さんに会いたいですし、城に戻りまし
ょう!」
「そうだな」
言いたい事はたくさんあった。でも、自然と言葉は何も出ては来なかった。
「行こう、リラ!」
ラウルはリラの細い手を取り、そして走り出した。
鐘の呼ぶ、暖かい所へ。
「よろしいのですか?特別扱いして」
二人の走り去る姿を見ながら、白いひげの老人は黒いローブの青年に話しかけた。青年は笑顔で言う。
「なに、記憶はもともと彼女のもの。それをただ彼女に返し
ただけだ。問題はないさ」
「まあ、そうですね。そういうことにしておきますか」
リラとラウルが見えなくなるのを確認すると、二人はそのまま闇の中へと溶け込みやがて消えた。
満点の星空の下、
石碑の前に置かれた一輪の花は、
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