DEEP-SEA KING



「私はあの洞窟に封印されていた。誰かが解いてくれたようだ
 から出てくる事ができたが…。もしかしたら私も邪悪なもの
 かもしれない。それが妖怪の囮になろうと言うんだ。例え私
 が死のうがあなた達には関係ないだろう?それに妖怪はもう
 あなたを狙いやしないだろう。優秀な対魔士殿がついている
 ようだしな」

 その言葉を聴いて、男は娘の肩を叩きひそひそと話し始め
た。

「そうだ。あの娘、たしか紅夜様が封印をといて洞窟から出て
 きた者だとお供の方も言っていた。どうせろくな奴じゃな
 い。本人が言っているんだ、身代わりを引き受けてもらった
 らどうだ?」

 それに対して娘は顔を真っ赤にして講義する。
「お父さん!馬鹿なこと言わないで!他人はどうなってもい
 い!?冗談じゃないわっ」

「だが…」
「交渉成立だな」
 親子喧嘩に発展しそうになった会話を火乃杜は無理矢理切ると、思い通りになったといわんばかりの微笑みを浮かべ言っ
た。

「心配するな、私はこれでも封印される前は妖怪退治をしてい
 た」


 夜になり、娘の身代わりに火乃杜は布団の中へと潜り込ん
だ。しばらくすると嫌な妖気を感じ、うっすらと眼を開ける。足元の少し離れた所、そこそいつは立っていた。

 もういいだろう、そう思って布団から飛び出すと火乃杜は妖怪の方へと歩み寄った。
 頭には二本の角、口からは二本の鋭く長い牙が伸びている。気味のいい顔とはとてもいえず火乃杜は真顔でただその顔を眺めていた。
「くくっ。自ら我に血を捧げるとはいい度胸だ。望み通りお前
 の血をいただくぞ」

 そういい、大口を開けると妖怪は一気に火乃杜の首筋にかぶりついた。が、妖怪は目を見開いて驚いた。
「何故だ、何故血が吸えん!?」
 その言葉に火乃杜は笑みをこぼし、言った。
「私の血が吸える訳ないだろう?私は人ではない、人形だ」
「何!?」
思わず口を離した妖怪の胸を火乃杜は伸ばした爪と腕で貫い
た。

「き、貴様…!?」
「私は身体の中にあるブールークリスタルの力で妖怪の核石を
         
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