DEEP-SEA KING



 霊力に変え蓄えている。それが私の動力源。お前の核石確か
 に貰い受けたぞ」

 奇怪な咆哮が辺りにこだますると同時に、妖怪は砂のように崩れ去った。残された火乃杜の手には黒光りした石が握られている。火乃杜がそれを握り締め、眼を閉じると石は彼女の体の中へと吸い込まれ消えていった。
 これでしばらく動ける。そう思い、後ろで何かしようとしていた二人の男の方を向いて笑った。
「あ、貴女は!?」
「残念だったな、無能な対魔士殿」
「む、無能!?」
 青年は火乃杜をにらみつけたが火乃杜は余り気にした様子もなく、それどころかさらに小馬鹿にしたように返す。
「違うというのか?」
「確かに無能かも」
 
友と思われる少年も同意したが彼はすぐに青年に張り倒さ
れる。青年は睨んだまま火乃杜に問いかけた。

「貴女、何者ですか?」
(知らずに私の封印を解いたのか?)
「私は火乃杜、季瑠の造った者」
「季瑠の造った…?」
不思議そうに問いかけてくる青年に火乃杜は本当に何も知らな

い事を悟り面白くなさそうに言った。
「そう、私は生き物ではない。人形…」
「そうは見えないけどなあ」
 火乃杜に返事を返した少年の言葉に季瑠はやはりすごいなと思いながら、彼女は笑いながら言う。
「当然だな。季瑠は私を本当の人のように造った。肌、髪、
 眼、感情、全てが限りなく人に近い。だが、私は人ではな
 い。故に求めるのだ。深海の王を」

「深海の・・・王?」
 一方何も知らない青年の言葉に火乃杜は腹立たしさを感じ、さらにぶっきらぼうに答えた。
「そう、深海の蒼き王」
「蒼き王!?何か知っているんですか!?」
 驚き返された言葉。少しは知っているようだと火乃杜は思いなおし言葉を続けた。
「遥か東、空に浮く島にそれはいる」
「東…」
 真剣そうに考えている青年を見ながら季瑠の言葉を思い出していた。
『貴女を本当に必要とする私の血を引くもの』
 こいつがそうか?そう思いながらその顔を覗き込む。青年は
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