るんじゃないんですか?」 「季瑠の造ったモンに欠陥品なんてないの!ついでに副作用も
ないの!それにその遺産はあらゆる願いを叶えてくれるんだ
よ。俺はこの身体を治すの!紅夜にだって願いはあるだ
ろ!?因みにこの情報は俺の信用できる奴から買ったんだ
よ。ただそこへの行き方は誰も知らないからまだ取られてな
いって事!!」
「そうですかっ。あらゆる願いなんか叶う訳ないでしょう。そ
れに万一叶ったとしても、私には叶う願いなんかありません
よ!!」
「叶わないかも知れない願いはあるんだろ?」
「…っ」
紅夜は悲しそうな表情を浮かべると、急に引き離そうとしていた手を止めた。悠真は紅夜の服から手を離し話の続きをす
る。
「遥か天空の島、古より建ちし城。我は蒼き王なり。白き光
を放つ者。我に汝を捧げよ、汝に我を捧げよ、我と汝は一つ
なり。我を目覚めさせしもの、汝の願いを叶えん。これは」
「蒼き王!?」
言いかけた悠真の肩を勢い良く掴み紅夜は聞き返した。さっきまで落ち込んでいた人物とはとても思えない。悠真は突然の事に驚きながらも首を縦に振った。
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「…いいですよ、私も行きます」
「!ほんとに!?やったー!!でもなんで急に?」
真剣な顔をしていた紅夜の顔を覗き込むようにして悠真は問いかけた。
「…創師季瑠、蒼き王。もしかしたらこれはブルークリスタルを指しているのかも知れません」
「ブルークリスタル?」
聞き返す悠真の顔を呆れたように見ながら答える。
「貴方本当にトレジャーハンターなんですか?ブルークリスタ
ルは霊力を増幅し高度なエネルギーに変換するものです。季
瑠の遺産に副作用がないのはこのためです。そして彼女はそ
れを造り出すことのできた唯一の者」
「ふーん」
(もしかしたら、それを使えば私の願いも叶うかもしれない、
姉さまを…)
にやりと笑い自分を見ている悠真に気づき、紅夜は嫌そうな顔をした。
「何ですか?にやにやと気持の悪い」
「紅夜さ〜、遺産に興味ないふりして色々知ってんじゃん」
「私が知っているのは季瑠のことです。彼女は有名な退魔士で
もあったんですよ?知っていて当然です」
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