黄昏の金色竜



突きつける。
「お前、忘れたのか?あの人は俺たちの親なんだ。何故裏切
 る!?」

「違う!騙されていたのは俺たちの方だ!あの人は竜を使って
 の恐怖による支配を望んでいる」

「嘘だ!あの人は、俺たちを裏切ったりしない。この世界の人
 々を護るために組織を作った。そういう人だ。だから、俺た
 ちのことも拾ってくれたんだろ?なのに何故そんな事を言う
 んだ!お前が!」

「フェスト!あの人が俺たちを拾ったのは…」
 そこまで言ったところで鍵のかかっていない扉が勢いよく開かれた。
 ケイは舌打ちすると、フェストの一瞬の隙を突いて持っていた拳銃を彼の顔面へと投げるとそのまま身を翻して飛行機の方へ走り、その操縦席へ飛び乗る。
「待て!ケイ!」
 フェストの言葉を無視し、ケイはエンジンをかけた。
 プロペラが回り、振動とともに飛行機は動き出す。
 はじめはゆっくりと動き出したその物体に、警備員たちは一気に銃を乱射した。
 無数の銃弾が降り注ぐが、それは見えない壁に阻まれたように飛行機に当たる前にバラバラと音を立てながら床へと落ち

る。
「なっ」
 皆がその光景をあっけに取られ立ち尽くしている中、二人を乗せた飛行機は青い空の中へと飛び立っていた。
 飛び立とうとする最中、フェストはケイの後ろに夕日を見、それが飛び立っていった方向を睨み付けた。
あの女…」

「大丈夫?」
 操縦しながらケイは少女に問いかける。
「平気」
 少女はそう短く答えた。
 そのまま会話が止まるかと思ったが、ケイはその返事を聞くとすぐに口を開く。
「さっきはホント駄目かと思ったけど、何かラッキーだった
 な、とか、言ってられなくなった」

「え?」
 少女の問いかけに、ケイは笑顔で振り向くとそのまま楽しそうに言った。
「燃料、ない」
「は!?」
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