黄昏の金色竜



「よしっ。もういいよ、ありがと。入って」
 音もなく開いた扉に不信感を抱きながらも少女は部屋の中へ急いで入る。
 それを確認しケイも入ると扉を閉める。
 今まで聞こえていたブザーの音も扉を閉めた瞬間少し緩和された。
 中は意外と広いが薄暗くよく見えない。
 壁には色々と立てかけてあり、奥に大きな何かがあるの位は分かるが、それが何なのかは分からなかった。
 ケイは少女を残したまま、格納庫の奥へと進むと壁に埋め込まれた無数のスイッチの前に立った。
 緑色に光るそれを押すと、ものすごい風と光が一気に部屋に流れ込み、少女は思わず目を瞑る。
 次に目を開けた瞬間、外の暖かい日の光で部屋の中のものの輪郭ははっきりとし、奥の大きな物体が二、三人乗れるか乗れないか位の飛行機だということが分かった。
 昔の戦闘機のような格好で、乗っているものが外から見えるようになっている。
「歩きだと絶対捕まる。これで脱出するから…」
 その時、ガタッという音が入り口のほうから聞こえ、
 「先乗って隠れてて。頭出すなよ」
 そう言うと音の方へ銃を構えて向かっていく。

音からして相手は一人、物陰から一気に飛び出すと、音の主へと銃口を向ける。
 それと同時にケイの頬を剣の切っ先がかすめそのまま静止した。
「フェ、フェスト!?お前なんで…」
「ケイ?…俺はあの人に頼まれてここにちょっと用があったん
 だ」

「あの人に?」
「お前こそ何でこんなとこにいる?今外は脱走者騒ぎだぞ?」
「お、俺は…」
「いたぞ!?格納庫だ!!」
「!?」
 外との扉を開けたことで気づかれたのだろう、沢山の人間が格納庫へと近づいてくる。
「ケイ、まさか、お前が…」
「…っ」
 ケイは一瞬考えたが、フェストに向かって手を差し伸べた。
「お前も来い、フェスト。ここは、お前が思っているようなと
 こじゃない。あの人だって!」

「ケイ!」
 フェストは怒りの表情でケイを睨み返し、剣をその喉元へと
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