鎖に繋がれし者



 魔族はどうにかしてその術から逃れようと必死でもがいていた。
「先に魔界へお帰りなさい」
 再びレイが杖を突くと、地から数本の鎖が伸び、魔族の身体を捉えるとそのまま地中へと引きずり込みやがて消えた。
「私も…」
 そう呟いたリオの顔を見ると、リオは笑いながら続けた。
「私もレイ様がいい人じゃなきゃ危なかったんですけどね」
 レイはその言葉に眉を顰め反論した。
「あたしはいい人になんかなった覚えはないわ」
 リオは人差し指を顎に当ててさらに言う。
「そうかなあ?だってレイ様は、私に使役されてなんて、いな
 いでしょう?」

「…どうでもいいわよそんな事!それより美味しい物が食べた
 いわ!」

 照れたように階段へ向かいながらいったレイにリオは嬉しそうにそれを制した。
「まずは残った魔族退治ですよ、それからクリス君上まで運ば
 ないと!」

「わ、わかってるわよ!全く、対して魔力ないのに中級魔族召
 喚しようだなんて迷惑な子よね。後でお説教よ。それから報
 酬たっぷりいただかなきゃね」

 言われて気づいたのか登りかけた階段を駆け下り、悪態をつきながらも軽々とクリスの身体をかかえる。その様子を見ながらリオはさらにからかったように言った。
「それから今日の食事当番はレイ様ですから」
「はあ?あたしは魔力の使いすぎで疲れてるのよ?リオちゃん
 が作りなさい」

「魔界最強が何を言ってるんです。それにそれは反則です!」
 階段の奥にその会話はだんだんと消えていく。
 二人が魔族退治は結局明け方まで続いた。
 美味しいものもたべられずに…。



「貴方があたしを呼び出したの?」
「そう!お店手伝ってもらおうと思って。私の魔力だけじゃ限
 られるから」

「…でも貴方の魔力じゃ、あたしを完全に召喚できても使役は
 無理ね」

「あはは…そうなんだよね。大丈夫かと思ったんだけど、や
 っぱり殺される?」

「…まあいいわ。あっちの世界でも退屈していた所なの。貴方
               前へ   閉じる  次へ