鎖に繋がれし者



「中級魔族の匂いよ」
 そういってその剣を肩口から斜めに切りつけた。
 その切り口から黒い煙と不気味な咆哮をあげて何かが勢い良く飛び出してくる。それは見る見るうちに鬼のような人のような姿と化し、クリスはその場に崩れ落ちた。その身体に傷はない。
「レ、レイ様!?これは一体」
 リオが戸惑いながら言うと、レイは呆れたようにいった。
「気づかなかったの?相変らずにぶいわねえ」
 魔族はレイを見て不気味に微笑む。
「良く気づいたな。あの方を召喚しようとしていたんだがこい
 つの魔力が低くてな、なかなかできなかった。おかげで低級
 魔族ばかり増えてな、召喚しようとしているのがばれそうな
 所まで来てたんだが…。結局ばれたか。まあいい、おかげで
 強そうな魔力を持った器が手に入る」

 その実態は煙と化し、そしてレイの方めがけて飛んでくる。レイが素早くリオを突き飛ばすと同時に魔族は彼女に絡みつくと、その身体を乗っ取ろうとした。が、できなかった。
「馬鹿な…」
 絡みついたまま驚愕する魔族にレイはその方向を見ないまま笑って言う。
「いくら呼び出そうとしても魔力のせいじゃないわ。それにあ

 たしの身体を乗っ取る事も無理よ。だって…あたしがその、
 あ・の・か・た」

「!」
 バチッと電気がショートするような音が聞こえたかと思う
と、魔族はその身体から弾き飛ばされた。

 そして明らかに動揺した様子で言った。
「馬鹿な、魔族の親と言われる貴方が…そんな筈は…」
「低級魔族さえあたしを恐れてたのに気づかなかったの?」
「ごめんね、私が先に召喚しちゃったの」
 レイの後ろで申し訳なさそうに言うリオを見て魔族はさらに首をふる。
「ありえない。人間などに…」
 レイは再び笑うと剣に変えていたものを元の杖に戻し、再びそれを床に着いた。
 その先からは新たな魔方陣が浮かび上がり、魔族の動きを封じる。
「何故…」
「本当は我が子の様な魔族を優遇してあげたいんだけど、ごめ
 んなさいね。あなたと違って完全に召喚されたあたしは術者
 には逆らえないの。何がしたかったのかは知らないけれど、
 あたしを使役したかった貴方なら解るでしょう?だから…」

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