無い、安全な暮らし。彼は眼を輝かせ、そして町長に掴みかかった。
「ほ、本当に!?」
「ああ、本当だとも」
意味ありげに笑う町長の顔にも気づかず、レオは一人喜び両手を挙げると町長の方に向き直り胸の前で手を握る。
「僕、やるよ!!」
張り切ってそう答えると、町長は懐から薬草の絵の描かれた紙を取り出しレオに渡した。
「それは森の奥のほうに生えている。頼んだよ、レオ君」
「まかせといて!」
そう言うとレオはその紙を受け取り森の方へと走っていりだす。
町長はその後姿をあざ笑いながら見詰めていた。
森の中。昼間だというのにそこは薄暗くただ草を踏むレオの足音だけが響いている。手をなるべく身体につけ、身を小さくしながらレオは奥へと進んでいった。
かなり恐怖心はあるものの、今後のことを考えると何としても薬草を持ち帰りたい、その一心で歩みを進める。
一つの強い風が吹いた。
木々を揺らし、何か不気味な鳥の鳴き声に、レオは思わず眼
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を閉じる。
風が止み、あたりに静けさが戻ったところで再び眼を開くと誰かの足が視界に入った。
おそるおそるその視界を上にずらしていくと、そこに立っていたのは、町で自分をつまみ上げた大男。
男は手に持っていた刀をスラリと抜いた。
闇のように真っ黒な刃。
「黒い、英雄」
レオは一歩足を引いた。
亜人を狩っているという只人の英雄。
逃げ出したかったが思うように足が動かず、只震えるばかりだった。
「あの町の町長から依頼された」
「!?」
レオは耳を疑った。
「町に巣くう化け物を退治する」
そういうと男は真っ黒い刀を自分の斜め横に構える。
その瞳は冷酷さを増した。
「居場所をくれるって言ったのに…すべては、嘘…?」
傷ついた様子のレオに容赦なくそれを突きつけようとしたその時、男の背後から何か大きなものが迫ってくるような音が聞
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