こえたかと思うと、それは彼らの前に姿を現す。
「な、何?」
「キメラ、だと!?」
滅多に現れることのない魔物。蛇の尾、猫の頭、熊の身体。
キメラは二つの獲物を前に爪を立て、まるで喜んでいるかのように咆哮した。
男は驚愕し、刀を取り落とすとその場にすわりこむ。
「馬鹿な、有り得ない」
冷酷な瞳は恐怖の色に変わり、そして呆然とただそれを見詰めている。
キメラは右前足を振り上げ、レオに向かって振り下ろした。
「う、うわあああ」
叫びその手をじっと見詰め視線を逸らす事もできない。もう助からない、というなんともいえない感覚か全身を駆け巡っ
た。
が、次の瞬間、蒼とも黒ともつかない稲妻が空から飛来し、キメラの右腕を切り落とす。
腕はレオの足元にドサッという音とともに落ちた。
耳がおかしくなる様なけたたましい鳴き声が辺りに響き渡
り、キメラは半ばから切り落とされた右前足と、なんともなっていない左前足をあげ、身体を仰け反らす。
またその時、上から一人の少女が舞い降りた。
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驚愕しながらも先ほど落ちてきた稲妻が刀だったという事をレオはその時初めて理解する。
「大丈夫?ぼーや?」
少女はレオのためにパンを買い取った人だった。
レオは只頷く事しかできない。
少女は黒ずくめの男の前までやってくると彼の刀を拾い上
げ、言った。
「何これ、墨でも塗ったの?」
少女は呆然としている男の顔を見て呆れたように続ける。
「呆れた。偽者でも英雄なら民を守れるようにならなきゃ、
ね」
「お、お前は…」
「危ないっ!!」
話の途中で言われたレオの言葉に、少女は振り返り、地面に突き刺さったままの己の刀を素早く抜くと、その刃の背に腕を当てキメラの爪を防いだ。
腕にめり込むような痛覚に少女は苦悶の表情を浮かべ、そして言う。
「やってくれるじゃない?あたしは今この人と話してるの。気
の利かない子は、嫌いよ!」
爪をはじき返し、そして軽々とその巨体の顔の部分まで飛び
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