出した。
「君、怯えすぎ。レオ君だっけ?おかしいっ」
レオは笑い出す少女にむっとしながら反論する。
「殺されるかもしれないのに怯えない奴なんかいないよ!!」
「ごめんごめん」
少女は笑いながら謝った。
「じゃあ、お詫びに。レオ君?亜人の村に来ない?」
「亜人の村?」
「そ、『誘拐』した亜人で村を作ってるの。今はまだ仲間は少
ないんだけど、この亜人迫害制度を変えようと思って。仲間
が集まるまで、ね。私はその収集役。皆いい人ばかりよ。強
制はしないけど、どう?」
「変わる見込みあるの?」
「絶対変えて見せるから、任せなさい」
「…仕方ない、誘拐されてやるか」
「うわー、生意気。そうそう、あたしの名前はレイス。じゃ
あ、よろしくね、レオ君」
「うん!」
レオはレイスの顔をじっと見て、そしてフランスパンを握りながら満面の笑みで微笑んだ。
亜人と只人が共存し始めたのは、それから遠くない未来の話。
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