「傍に、いてくれるなら」
「え!?そ、それは…どういう…?」
顔を真っ赤にして聞き返す天使に向かってフェイは笑いながら言った。
「君の歌を聴いていたいんだ」
それを聞いてリーシャは納得したように頷き、笑った。
「はい!よろこんで!一人前になったら毎日でもきかせちゃい
ますう」
「はは、ありがとう」
「ところでフェイ?わたくしの声を奪いに来た人から聞いた
んですけど、この世に声を取り戻せる方は三人しか居ない
と。魔道薬師様。フェイはわたくしの声を取り戻してくださ
いました。そんな凄い方なのにどうして、オルゴール店
を?」
フェイは一瞬躊躇し、そして真面目な顔で答えた。
「俺、ゲテモノ系だめなんだよね」
「え?」
「薬の材料って殆んどゲテモノ系なんだよ。最悪。で、もっと
人のために成る事に金使えばいいのに、私利私欲でどうして
もっていう金持ちには大金ふっかけてるんだ。今日聞いたん
だけどあだ名は『ぼったくり大魔神』らしい」
それを聞いてリーシャは本当におかしそうに声を上げて笑
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う。取り戻したその声で。
「でもフェイ?どんなものでも生き物は愛すべき者なんです
よ」
フェイは少しむっとして意地悪そうに言った。
「さすが天から落ちるほどの天使様のお言葉」
「もう!からかわないで下さい!」
「ははは」
それからフェイのリーシャに歌を教える日々が始まったのだった。本当の天使の歌声を聴けるその日まで…。
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