変わってはいるが中身がな。そしてこの世界は発展しない。
新たな能力をもって生まれてくる者もいない。全ては精霊を
中心に動いているからだ。世界観も変わってはいない。尤も
中身が同じ者ならばそんなに変わる事もないだろが」
「…あの人は、まだそんな事を続けていたのか…」
「理由も分かっているようだな。私達はラウルを待っていた。
この腕輪を運んできてくれるのを…。お前さんは確かに王じゃ
ない。これはお前さんのいた時代、ルーン王が託した物だ。どうやら知
らないうちに託されたようだが…?」
「ルーン王が?」
「彼女は自分の運命を予期していたようだ。
…ラウルよ。今の、いや、
九百年前にルーン王の身体を乗っ取ったマリアは支配を望んでいる。そ
して身体を乗変え、王の精霊を取り込みながら生き続けている。腕輪が
無かったせいでどの新王も時の一族の力を持った彼女には勝てなかっ
た」
「時の?」
「知っている筈だ。王が世界の秩序を支えているのと同様、時の安定を支
えている一族がいる事を」
ラウルは黙って頷く。
「自らの時を操り、生を永らえる。そして時の神を支えてきた。わしもそ
うだが、マリアもその一人。彼女は時までも支配しようとしている。精
霊の力を統合し、自らの時の力を使って…。そしてそれにはその腕輪と
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精霊の力の源、精霊石が必要だ。またそれが出来る力を持った王も。だ
からマリアは王の力と地位を手に入れたのだが…、それが出来る者は今
までで現れはしなかった。そして腕輪が無かったのも事実。なおさら出
来る筈も無い。今の彼女出来るのはいつの時代かも分からぬところにも
のを送る事、そしてこの時、この世界だけを支配すること位だ」
「だったらこの腕輪を渡しても時の支配なんて無理なんじゃないんです
か?王が変わらなければ違う能力を持った者など生まれては来ないので
すから」
「時が来たのだ、ラウル。時期に王も次の世代へと変わる。そして次の王
はその力を持っている」
「次の王が?」
「そうだ、そして次の王は」
「私です」
今まで黙っていた少女が突然口を開いた。
「君が?」
「はい。申し送れまして、私はリラ=ローズ=ランクタッドと申します。 宜しくお願しますね、ラウル」
「あ、ああ。宜しく」
言葉とは裏腹の何処か無愛想なリラの表情にラウルは不信感を覚えながら頷いた。
ラウルの様子に気づいたのかドッグが口を挟む。
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