200年目の鐘




 

 きるのです。行きましょう、ラウル」
 リラは扉を開けると目でラウルを促した。ラウルは軽くうなずくと開かれた扉の前で 振り返り、
「お世話になりました」
 そう挨拶すると扉を潜った。
 リラもその後に続く。
「それではドッグ、言ってきます」
 家を出てしばらく歩くとラウルは思い出した様にリラの方を向き、腕輪をポケットから取り出すと彼女の方へ差した。 「これ、君が持つべき物なんだろ?」
 リラは差し出されたその手を軽く押し戻す。
「そうです。でもこの森を出るまではそれを手放してはいけません。森を出たら改めて」
「ああ。そっか」
 それを手放したら自分は死んでしまう。
 何も身に着けていない者達と共にいたせいですっかり忘れてしまっていたのだろうか。     
 ラウルはそれをしっかりと握りなおし、再び歩き出した。
 森を抜けるとラウルはポケットから渡しそびれた腕輪を取り出す。
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