「…これを」
そう言ってそれをリラの左手の上に乗せた。
「有難うございます」
リラはそれを右手で掴み左腕にはめた。
ラウルは森の外の見慣れた風景を見つめていた。
確かにあまり変ってはいない。だが焼けてしまった自分の村は今、どうなっているのだろうか。誰かが見つけて村の皆を葬ってくれただろうか。あれだけ火が強ければ誰かが気付いてくれただろう。でももしマリアが支配のためにあの後すぐ火を消していたら?森の中の小さな村だ。見つけられる事は皆無に等しい。
ふと視線を上に向け、空を見上げた。
その時だ、背後に殺気を感じて振り返る。しかし完全に振り返る前にラウルの喉に刃物の切っ先は押し付けられていた。目の前で起こっている事、そして短剣を自分の喉に押し付けている少女、それは紛れもなくリラだった。
「…何を?」
動く事も許されず、ラウルは搾り出すような声で問う。
リラはゆっくりと口を開いた。
「そんなに簡単に私達を信用できるものでしょうか?時を越えなど、本当に信じられますか?そう、私がマリアだと言ったら、貴方はどうしますか?」
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