200年目の鐘



「き、貴様」
「いけません、リュウキ様!」

「ストップ」
 殴りかかろうとしたリュウキとにんまりと笑うクロノス間
に、差し出された一本の腕。

 制しようとしたセレナより先に、リラが二人の間へと割って入った。
「喧嘩をしている場合ではありません。もう日も高くなってき
 ているんですよ。私は何とか今日一日で試練を全て終わらせ
 たいのです」

「そーそー。喋ってる暇があるんなら、此処をどうやって渡る
 かを考えて方がいいんじゃない?水の神殿の様に歩くわけに
 もいかないしな」

 ラウルは当たり一面向こう側にまで海の様に広がっている溶岩を指差し言った。
「はいはい、失礼しました」
「…確かにこんな馬鹿とつるんでる場合ではなかったな」
「馬鹿っておいっ」
「本当の事だが?」
「むかっ。なんだよ、ちーび、ちーび」
「何を!ばーか、ばーか」
「ちょっ、マスター、止めなよ。恥ずかしい」
「二人とも幼稚過ぎますわ」
「レベルが低過ぎる」

「…はあ」
 口々に言う四人の方を二人は同時に見ると、少し顔を赤らめそっぽを向く。
「確かに、少し…な」
「…さて、どうやって渡るか考えるとするか」
「そうすっか」
 思い返すと余程恥ずかしいのか彼らの方を見向きもせず、二人だけであれやこれやと話し始めた。
 その様子を見ながら精霊達は僅かに微笑むと、ラウル達の方へ振り返る。
 しかし、折角四人で話し合おうと思った時には、もう既に彼らも二人で話し始めていた。
「…ボクらも話そうか」
「そ、そうですわね」 

「うーあー!」
 日も傾き始めた頃、クロノスは叫び声を上げると座ったま
ま、後ろに倒れ込んだ。

 長時間頭を捻り、挙句この暑さ。リノの力で和らいでいると
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