200年目の鐘



は言え、叫びだしたくなるのも無理はない。
「この煮えたぎる海をどうやって越えるのか、ボクにも検討も
 つかないよ」

「地の精霊でも居ればいいのだがな」
「何で地の精霊なんだ?」
「あやつが居たら道が作れるだろう」
「ああ、そうか。なあ、セレナの力で空を飛ぶってのは駄目な
 のか?」

「わたくしの力だけでこの人数を飛ばすのは無理ですわ。リラ
 様が正式に王になっているのならできたかもしれませんけれ
 ど。静止している物ならともかく、動くものは力をより浪費
 するんですの。ですから全員無事に向こうにつける保証はで
 きませんもの」

「一つ考えたんだが」
「何です?」
「回り道をした方がよいのではないだろうか?すまない、もし
 こんな所だと知っていたならば、地獄の谷に来ようなどとは
 言わなかったのだが」

「…それは構いません。しかし、回り道をしている暇はないの
 です。今から風の神殿に戻っていては…。此処からかなりか
 かるのでしょう?」

「確かにそうだが」
「でもリラ。此処で考えてるより早いかもよ?」
「……」

「あのさ」
 ずっと彼らの会話を聞きながら考え禁でいたラウルはセレナの方を見て口を挟む。
「なんでしょう?」
「静止している物なら、いくつでも平気?」
「いくつでもって訳ではありませんけど、動いているものより
 は遥かに平気ですわ」

「よし」
 一人で納得し、頷いている彼の方を、五人はまじまじと見つめた。
 そして次の言葉を待つ。
「皆でさ、足のサイズ一個分くらいの石をなるべく沢山拾って
 きてくれないか?あ、もちろん俺も行くけど」

「足のサイズ一個分だと?」
「そ。ま、多少小さくてもいいけど。あと大きいのは寧ろ歓迎
 かな」

「そういうことですか」
「分かりましたわ」
「んじゃ、行ってくるよ」
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