200年目の鐘



 リラは真っ直ぐと彼女を見詰め返し答える。
「会ってまだ1日。なのに信用しろという方が難しいと思いま
 す。あなた方と違って繋がりはありませんから。それに、
 『彼女』が…言ったから」

「彼女?」
 一体誰の事を言っているのか、ミレルは即座に聞き返したがリラはそれ以上は答えずしかたがないのでそのまま契約を実行する。
 またそれが終わってから外でまだ喋っていた他の五人を中へと入れ、ミレルは胸の前で両手をポンと合わせると言った。
「じゃあ地の神殿まで転送装置で行こう!!」
「ちょっと待て」
 待ったをかけたのはリュウキだった。ミレルはにっこりしながら聞き返す。
「ん?何〜?」
「転送装置、壊れていたのではなかったのか?」
「……」
 眼を泳がせながら彼女の首までもリュウキの方を向くことを拒んだ。
なるほど、と言った様子で今度はクロノスが口を開く。
「お前、試練考えるのがめんどくさかったんだな」
「転送装置の力を落としていましたのね」

「ミレル酷いよう。ボク達大変だったんだよ?」
「ははは〜」
 講義の後の乾いた笑い。キーラはその言葉に主人より早く反論した。
「マスター悪くないわよ!あれが試練だったんだから!!最初
 に言ったでしょ!ね!マスター?めんどくさかったんじゃな
 いよね?」

「へ!?」
 急に問いかけられ一オクターブ高い声を一瞬出したが慌ててその言葉に同意する。
「そ、そうよ!あれ、試練だから。めんどくさいから試練にし
 た、なんて…ねえ」

「はあ」
 クロノスは深い溜息をつき、まあいい、と奥の転送装置へと向かった。
 その後にリノが続きリラが続き、そしてラウル、リュウキと残りのメンバーも次々とその部屋へ入っていく。
 全員が装置に乗ったのを確認し、キーラは右手で左肩を、左手で右肩を一度叩き、そのまま両手を交差して上に上げ、手首にはめてあるリングを二度鳴らすとそのまま手で文様の上に勢い良く叩いた。
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