200年目の鐘



振り言う。
「こいつは地の精霊。んで名前は…」
「おら、グリスってゆうだ。よろしくな、王様」
 言葉を引き継ぎ名乗る地の精霊にリラは納得したようにうなずく。
 なんだか内心ほっとしているようにも見えた。
「私はリラです、宜しくお願いします」
 その時、奥の扉が開き大柄な筋肉質の男が姿を現す。
「なんじゃあ、みんなもう来てたのか?」
そう言うと男はどかどかと一同の下へやってきた。
「この子が王様だべ」
「おう、この娘が王様なんじゃな」
 グリスが笑顔でそういうと男は彼の頭をがしがしとなで、頷く。
「…破壊神?」
「うわっ」
 無遠慮に呟いたラウルの口をクロノスは慌てて塞ぎ、そして首を振った。
 男は一瞬ラウルを見たが聞かなかった事にして、リラを見
る。

「わしはモーガリスという。本名は試練の後でよろしいか
 な?」

「構いません」
「うむ。試練の内容じゃが…わしと戦ってもらう」
「戦い、ですか?」
 躊躇したように答えるリラにモーガリスは頷き返し、そして続けた。
「そうじゃ。契約した精霊なしで武器の使用は可能。相手が負
 けを認めたら勝ち。但しもとからいる周りの精霊は使っても
 よいこととする。お前さんは全ての精霊が使えるがわしは地
 しか使えん。が、下は砂、フェアじゃろう?どうじゃ?」

そうか?
 ラウルをはじめそこに居る誰もがそう思った。がリラは言っ
た。

「試練ですから、受けるしかありませんね」
 そして腕輪を外し、ラウルのところへ行くとそれを渡す。
「預かっていてください」
「あ、ああ」
 何で自分に預けるのか不思議に思いながらもラウルはそれを受け取った。
「あのさっ」
 モーガリスの所へ行こうとしていた彼女をラウルは呼び止める。
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