200年目の鐘



 ミレルの言葉に三人は頷き「もう寝よう」と疲れた顔をしながら戻って言った。

 翌朝、時の一族の協力は無理だという事をリラから聞かさ
れ、ラウルへの疑問が残るものの自分達だけで行く事を決め、そして転送装置に乗るとどこから取り出したのかグリスはタンバリンを何度か鳴らし、そして紋様に手を突いた。


 城から少し離れたところに一同は降り立った。
 門には兵士が立っている。どうやって入ろうか、そう考えているとき、リラは動いた。そのまますたすたと門番の前に行
き、そしてそのまま中に入っていこうとする。

「おい、待て」
 兵士に呼び止められリラは振向き答えた。
「何か御用ですか?」
「はあ?それはこっちの台詞だ!誰が入っていいと許可し
 た!?」

「それはおかしいですね。確か九百年前は自由に出入りできた
 と思ったのですが?」

「九百年前?」
 一度兵士は聞き返したが何かを思うとそのままリラの返事を待たずに言う。

「ああ、分かった、とにかく入っちゃ駄目なんだ」
「全然分かってないじゃないですか」
「だか…」
 言いかけたとき、後頭部に衝撃を感じ兵士はそのまま地に突っ伏した。
「リラちゃん、きなり行きすぎだよ〜」
「どうせ実力行使になるんですから」
「確かにそうなのだが…」
「ほら。行きますよ」
 皆の不満を押し切り、リラはすたすたと城の中へ入って言った。
 残り一同は顔を見合わせ、そして後に続いた。
 中は不気味なくらい誰も居なかった。
「狙いはリラ、待っている、ということかのお?」
「兵士には拒絶されたけんどなあ」
 リラを先頭に一同は走り、そして奥の扉を開けた。
 真っ白な壁、そこにかけられた赤い金縁の幕。いかにも身分の高い者のための部屋、という感じの部屋。
 その一番奥にたった一人、男が立っている。
 黒い瞳に黒い目、黒い衣装。
 距離を置き立ち止まった時、リラの背後でものすごい音がし
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