200年目の鐘



「相手は可愛い女の子かしら?あまり話せないのは残念だけ
 ど、早く戻ったほうがいいわね」

 楽しそうにいうルーン王の前半の台詞を無視し、ラウルは問う。
「…でも…どうやって…?」
「時の神の所へおい来なさい」
「時の…神」
「そう、ちょっとそれ、貸してくれない?」
 そういって指差された腕輪をルーン王のへ差し出した。
 彼女はそれを受け取ると両手に挟み、眼を閉じて何かを念じる。
 手の中がぼうっと明るくなり、七色に発光したかと思うと、ラウルの後ろでがたんっと激しい物音が聞こえた。
「いったーい」
 聞きなれた少女の声。
「あ、ラウル、無事だったんだ」
「もう会えんかと思ったぞ」
「一体ここは何処じゃ?リラは?」
「ってか皆どいてよー」
「皆?」
 マスターと精霊が折り重なるようにしてそこに居た。
「今、この世界に、他とは違う精霊の気配を感じたから。呼ん

 だの。はい、返すわね」
 そういって差し出された腕輪を受け取る。
「あのっ」
 まだ話したいことがたくさんあった。もう会うことのできない彼女に。しかし、
「彼らと一緒なら、時の神の力を借りればきっとその時代に帰
 れる。奥に転移装置があるから使うといいわ」

 ルーン王は彼の言葉を遮った。
 悲しそうな表情を浮べながら、一つの扉を指して。
 拳を握り締め、奥の扉に消えていく少年の姿を見ながら、彼女は言った。
「未来は変えられないのかもしれない。でも、貴方にヒントを
 貰ったから、だから悪あがきくらいはしてみるわ。ラウル、
 マリアを、私の親友の魂を、どうか解放してあげて。さよう
 なら、ラウル」

 
 奥の部屋、少しの段差の上にある巨大な文様。どの神殿のものとも違っていた。
 四人の精霊は五人を囲むようにしてその転移装置に乗ると、それぞれの音を、共鳴させ、涼やかな流れを作るといつもとは違い、両手を交差させ上に上げた。
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