200年目の鐘



「でもこの石は!」
「それ…は…王にしか使えないのではありません」
「どういう?」
「本当に…精霊に好かれた者だけが使う事ができる…。貴方 なら…大丈夫…」
「本当に精霊に…?」
「行って…下さ…」
「分かった、でもまずはリノを呼んで来る!」
「時間が…ない…ユリアは…既に…」
「でもっ」
 リラは瞳を閉じ、そして息を整えると再び眼を開けて言っ
た。

「待って…います…ここで、貴方を。帰ってくるのを、待っ
 ていますから…」

「……」
「大丈夫、自分でリノを呼びます。信じて下さい」
 真っ直ぐと見詰めるその瞳、その言葉にラウルは眉を寄せ、そしてはっきりと頷いた。
「分かった。行って、くるから」
「奥に転移装置があります」
「ああ」
 立ち上がり、背を向けると奥へと走っていった。


  
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