200年目の鐘



「私宛に何か届きましたか?」
 と聞いてみる。
「いいえ、何も届いておりません」

 そう門番は答え、リラはそうですか、とその場に腰を下ろした。
 門番は少し戸惑い、
「何か届く予定なのですか?届いたらお届けしますが」
 と聞くと、
「いえ、届くかどうか分からないので、とりあえずここで待ち
 ます」

 そうよく分からない返事が返ってきた。
 門番とその横で門の前に座り込む少女、そんなかなり怪しい光景に彼は堪えられなくなり、どこから持ってきたのか椅子をリラのほうへ差し出した。
「有り難うございます」
 そういってそれを受け取ると椅子の上に腰を下ろす。
「ずっとここに立っていて暇では在りませんか?よろしければ
 私とお話ししませんか?」

 門番は仕事中ですから、と丁寧に答えると、リラは、
「大丈夫です、何も起こらないと思いますし、起こったら私が
 守りますから」

 そう言ってとても楽しそうに笑った。

 
 ミレルは階段を下り終わると、兵士たちの家とも言える宿舎へと足を向けた。

 木製でできた質素な扉を開けると、食事をしていた兵士たちはその手を止め、椅子から立ち上がるとピシッとした姿勢で敬礼する。
「ミ、ミレル様!?このような場所へわざわざ足をお運びにな
 られるとは、何か起こりましたか?」

 兵士の一人が話しかけてきた。
 まあまあの人数の兵士たちが居るのを確認すると、ミレルは胸の前で手を組み、懇願するような上目遣いで兵彼らを見つめた。
「お願いがあるの」
「は、はい、なんでありますかっ!?」
 顔を赤らめながら動揺している彼らの姿を見て、内心彼女はにやりと笑うのだった。

 クロノスは一人一人侍女の元を回っていた。
 肩を抱き、甘い言葉を囁いては貢物を献上してもらってい
る。

 落とせない女はいない、一見そう見える彼にも落ちない侍女
               前へ   閉じる  次へ