「そうです。私はもうどうしたらいいのか途方にくれていまし
た。狙われた村の女は今までに一人も助かってはおりませ
ん。私の妻も…、それなのに娘まで狙われては…」
(うわっ不幸すぎ)
二人はそう思ったがあえて口には出さなかった。
「……それで、今夜娘さんをお守りすれば宜しいのですね?」「いえ…」
男は一旦言葉を切り、続けた。
「まずは紅夜様に調査をしていただきたいのです」
「調査?」
「はい。今村ではある噂がたっております」
紅夜は出されたお茶に手を伸ばし、一口すすると聞き返し
た。
「噂…ですか。それはどんな?」
「実は村の裏手に大きな洞窟がありまして、そこに何者かが封
印されているのです」
「その封印が解けたのですか?」
「そう、村のものは皆思っています。ですが誰一人として恐ろ
しくて入れないのです」
「だれか居るだろ。臆病だなあ…、いっ」
「すみません」
口を出してきた悠真の頭を殴ると紅夜は男に頭を下げて謝っ
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た。
「いえ、本当のことですから…」
「…では早速調査いたします。案内していただけますか?」
一瞬何を言っていいのか迷った紅夜はとりあえずそう言うと立ち上がる。頭を擦りながら悠真もそれに合わせて立ち上がった。
「こちらでございます」
案内されて洞窟のところまで来ると、紅夜は無言でその中へと入っていく。
「あ、お気をつけて!!」
慌てて叫んだ男の脇を、悠真が小走りで走り紅夜の後を追いかけていった。
「何か感じる?」
暗くて良く見えない紅夜に向かって悠真は声をかける。返事はすぐに帰ってきた。
「いえ、邪悪な感じはしません。ただ…」
「ただ?」
「不思議な気を感じます」
「不思議なって?」
聞き返したとき、不意に視界が開けた。そこは何故かまぶしかった。
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