彼女の悲しそうな笑顔を見て、心配しながらフェイは街へと向かった。
いつもより早く仕事を切り上げ、フェイは薬局店へと向か
う。
「すみません!」
「あ、フェイじゃないか。久しぶりだな」
長い髪を後ろで縛り、眼鏡をかけた店員はにっこりと微笑みながら親しげに言った。
「ああ、久しぶり。ところでさ、喉に効く薬ない?」
「喉に…?おまえ喉痛めたのか?接客のしすぎじゃねえ?本業
に戻ればいいのに」
「何言ってんだよ?今のが本業、だろ?」
「全く。待ってな、今調合してやるよ」
「どうも。お前の調合した薬が一番効くよ」
「やれやれ」
10分ほど待つと、眼鏡の店員は小さな紙袋をフェイに渡す。
「有難うございました」
店を出て、薬を抱えるとフェイは走り出す。街を出ようとしたその時だった。一つの美しい歌声が一角の店から聞こえてきた。
「リーシャ…?」
そこは例の機械を売っている店。フェイの心臓が一瞬どきっ
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と音を鳴らした。
「まさかっ!」
いそいでその店へ入ると、レジの前に店主と立つ金持ちの姿があった。どうやらレジで試聴しているようだ。一つの木の箱のようなものは彼女と思われる声で歌っていた。フェイは急いでレジに向かうと店主に食らい付くような勢いでその機械を指差し問いただす。
「これ!これどうしたんですか!?」
「なんだね、君は…」
「い・い・か・ら・答えろ!!」
レジの台を思いっきり叩かれ、店主は吃驚しながらおずおずと答えた。
「さ、昨夜西の森で取れたらしい。て、天使の歌だ…」
「天使!?」
「ほ、本当かはわからん、第一天使なんて見たもの誰も居ない
んだ。それほど綺麗な声というわけだよ。悪いが君には売れ
んよ、これはこちらのお客様がお買い上げになるんだ」
そういって指した先にはもう誰も居ない。店主は一瞬硬直
し、そして怒鳴った。
「き、君のせいで大切な客が逃げてしまったではないか!?こ
れは営業妨害だ!!」
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